2022-12-10から1日間の記事一覧

二条舘⑥ 元亀元年(1570年)五月八日。 例年通り梅雨が始まっていた。伏して迎えた顔をこわごわ上げたお菊の目が、見下ろす三郎信長の目と合い、あっと声を上げそうになったがかろうじて飲み込んだ。 「お菊かごくろう。これからも義昭公にはげめ」 と言う意…

墨俣⑥ 元亀元年(1570年)五月半ば。 京より二日遅れで梅雨が始まっていた。浅井長政のバカさ加減にあきれた内藤冶重郎が気分転換に小六の屋敷を訪れ、火の無い囲炉裏でお徳と世間話をしていた。 「奥の方が何を血迷ったのか華子と仙千代どのを急いで一緒に…

姉川② 元亀元年(1570)晩夏六月二十八日。 浅井・朝倉連合軍と織田・徳川連合軍が姉川で会戦し織田・徳川連合軍が勝利した。 岐阜城② 元亀元年(1570)初秋七月十五日。 将軍義昭を二条館に訪ね、姉川の戦勝報告をして京から戻った信長が久しぶりに京を離れ…